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慢性腰痛症について

COLUMN

慢性腰痛症について

平成25年に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると、腰痛は男性で1位、女性では2位の症状となっており、国民の多くが腰痛に悩まされていることが分かります。

この記事を読んでくださっている方も腰痛で困った経験があるのではないでしょうか。

この記事では、腰痛の原因や検査、治療法について解説していきますので、是非参考にしてみて下さい。

 

 

 

慢性腰痛の症状・分類

腰痛は名前の通り腰部に痛みを呈しますが、その他にも下肢への痛みといった関連痛やしびれを伴う場合もあります。
また、腰の痛みといっても骨や筋肉からくる痛みか、もしくは神経から生じる痛みかで、腰痛の感じ方は異なってきます。

発症からの期間によって腰痛は分類されており、「発症から4週間未満の腰痛」を急性腰痛、「発症から4週間以上3か月未満の腰痛」を亜急性腰痛、「発症から3か月以上経過している腰痛」を慢性腰痛といいます。
その他の分類として、検査で原因と特定できる腰痛を特異的腰痛、特定できない腰痛を非特異的腰痛といいます。
原因の分かる腰痛のほうが多いのではないかと思う方が多数派だと思いますが、実際は腰痛の85%が非特異的腰痛との報告があります。
特異的腰痛の場合は原因ごとに対処できますが、非特異的腰痛の場合はそのようにはいかず治療に難渋することも多いです。
そのため、どのような治療法があるのかを知っておくことはとても重要です。

 

慢性腰痛症の原因について

慢性腰痛を引き起こす原因は多岐にわたります。今回は主に整形外科疾患を含む病態の一症状として腰痛を引き起こす疾患をいくつか説明していきます。
その他にも慢性腰痛の原因となりうる非整形外科疾患や精神的ストレスに関しても述べます。

 

慢性腰痛症の原因-整形外科疾患

慢性腰痛の原因となりうる整形外科疾患は多岐にわたるので、代表的なものをいくつか挙げていきます。

腰椎椎間板ヘルニア

脊椎の腰の部分に相当する腰椎は5つあり、腰椎の間にクッションの役割をする椎間板という組織が存在します。
正常な椎間板には弾性力があり、上下の腰椎を支えています。しかし、加齢などの原因により椎間板の組織が損傷して椎間板内部にある髄核という組織が外に飛び出てしまうことがあります。
外に飛び出た組織が近くにある神経を圧排することがあり、これを腰椎椎間板ヘルニアといいます。
好発年齢は50歳代で、女性よりも男性のほうが頻度は多く2倍程度となっています。
症状は腰痛の他に片側の下肢にしびれを呈することがあり、痛みのある方に腰を曲げると痛みやしびれが増悪するのが特徴的です。

 

腰部脊柱管狭窄症

脊椎には脊髄の神経の通り道である脊柱管があります。
脊柱管は背骨や椎間板などに囲まれていますが、加齢などが原因となり周囲にある背骨などが変形してしまい、脊柱管が狭窄してしまうのが脊柱管狭窄症です。
ピークは60-70歳代で高齢者の10人に1人が罹患するといわれています。安静時では腰痛はそこまで強くないですが、運動時に腰痛や下肢の痛み・しびれを呈します。
特に有名な症状としては、しばらく歩くと痛みやしびれが出てきますが、少し休むと痛みやしびれの症状が改善して歩けるようになるといった間欠性跛行があります。

 

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折は何らかの原因により脊椎に外力が加わった結果、脊椎が骨折してしまう病態です。
交通事故などにより脊椎圧迫骨折をきたす場合もありますが、多くの場合は骨密度の低下した高齢者が転倒してしまったり、尻もちをつくことで生じます。
腰痛は腰全体というよりかは骨折した部位に限局しており、安静時よりも体動時に痛みが強くなる傾向があります。

 

腰椎変性すべり症・腰椎分離すべり症

椎骨が何らかの原因でずれることにより脊柱管が狭くなることがあります。
その為、脊柱管内にある脊髄が圧迫されて脊柱管狭窄症と同様の症状である、腰痛や下肢の痛み・しびれが出現します。これが腰椎すべり症です。
腰椎すべり症は原因によって2つに大きく分けられており、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症とがあります。

腰椎変性すべり症

加齢や女性ホルモンの減少により椎間板や靱帯などが変性を起こし椎骨がずれてしまう病態が腰椎変性すべり症です。
中高年で生じることが多く、女性ホルモンも関与していることから閉経後の女性に多いです。
すべり症のなかでも変性すべり症が原因として最多です。

腰椎分離すべり症

腰椎分離すべり症の前段階である腰椎分離症に関して始めに説明します。腰椎分離症は椎骨の後方部分である椎弓が骨折してしまうことです。
主に思春期の頃の過度な運動が原因となることが多いため、分離症は10歳代で起こることがほとんどです。
なかには、先天的に骨癒合が不完全な場合があり、椎弓が骨折しやすい状態であるケースもあります。
この分離症が進行して椎体のずれを生じてしまうのが腰椎分離すべり症です。症状は先述したように脊柱管狭窄症と同様です。

 

骨粗鬆症

骨粗鬆症は近年日本人に増えている疾患の1つです。
加齢や生活習慣、女性の場合では閉経による女性ホルモンの減少が原因となり、骨密度が低下して骨がもろくなってしまう病態です。
そのため、骨に外力が加わると骨折しやすい状態となっています。
転倒はもちろんのこと、くしゃみや排便時のいきみでさえも骨折してしまうことがあります。
このように骨粗鬆症の患者さんは先述した脊椎圧迫骨折になりやすいため、腰痛を呈することが多いと考えられています。

 

側弯症

これまでに挙げた整形外科領域の疾患が高齢者に多い病態であるのに対して、側弯症はほとんどが若年者に起こる疾患です。
脊椎は正常であれば左右に曲がっていませんが、側弯症では脊椎が左右に曲がっています。
原因がはっきりとしない特発性が80-85%を占めており、その他の原因としては筋ジストロフィーや脳性麻痺といった様々な神経や筋肉の病気や先天性疾患が挙げられます。
脊椎が曲がっているため、正常な場合よりも筋肉への負担が大きくなることから腰痛を呈することが多いです。

 

脊髄腫瘍、脊椎腫瘍

腰痛の原因となる悪性腫瘍は2種類あり、脊髄腫瘍と脊椎腫瘍とがあります。
症状は両者とも似ており、まず腫瘍が局在する部位の疼痛が認められます。
その後、腫瘍の進展により脊髄への圧迫が進行すると、圧迫された部位の応じた神経症状(運動障害、知覚障害、排尿障害など)が生じます。

脊髄腫瘍

脊髄腫瘍は脊柱管内を通る脊髄や、脊髄の周囲にある硬膜、くも膜、神経鞘などから生じる腫瘍のことです。
腫瘍の出来る場所によって以下の3つに分けられています。
髄内腫瘍は脊髄の中から生じる腫瘍で、上衣腫、星細胞腫、海綿状血管腫などがあります。
硬膜内髄外腫瘍は硬膜の内側に生じる腫瘍で、神経鞘腫や髄膜腫などがあります。
また、脊髄腫瘍の中でも最多のものです。
硬膜外腫瘍は名前の通り硬膜の外に生じる腫瘍で、ほとんどは他の癌からの転移です。

脊椎腫瘍

脊椎腫瘍はいわゆる背骨から出来る腫瘍のことで原発性と続発性に分類されます。
原発性の頻度は少ないものの若年者から中高年までに生じうる腫瘍です。
一方で続発性に分類される腫瘍は転移性腫瘍のことで中高年に多い腫瘍です。
原因となる悪性腫瘍は肺癌、乳癌、前立腺癌などがあります。
共に脊椎に腫瘍が出来ると正常な脊椎の構造が変形してしまうため腰痛などの症状を呈します。

 

後縦靭帯骨化症・黄色靱帯骨化症

後縦靭帯は脊髄の前方に、黄色靱帯は脊髄の後方に位置する靱帯です。これらの靱帯が骨に変性してしまうのがこれらの病態です。
後縦靭帯骨化症・黄色靱帯骨化症は共に難病に指定されており、中高年以降の男性に多いと報告されています。
人体が骨に変性する原因ははきりと明らかにはされていませんが、年齢や遺伝、糖尿病、肥満などが関与しているのではないかと考えられています。
靱帯が骨に変性し脊髄を圧迫してしまうため、症状としては圧迫される部位の腰痛や神経症状が出現します。

 

脊椎手術術後

脊椎手術を行う場合は、2-1~2-8で挙げた疾患により脊髄が圧迫されて神経症状が出現しているときがほとんどです。
そのため、手術により圧迫が解除されても、疼痛やしびれといった症状が残存する可能性があります。
また、手術の際はどうしても神経を一時的に抑えたりすることがあります。
これらの操作が原因となって神経障害として疼痛やしびれを認める場合もありますが、ほとんどの場合で症状は経時的に改善します。

 

慢性腰痛症の原因-非整形外科疾患

腰痛を呈する非整形外科疾患は以下のようなものが挙げられます。

 

  • 泌尿器科系疾患―尿管結石、腎盂腎炎など
  • 婦人科系疾患 ―子宮内膜症、子宮筋腫など
  • 血管由来   ―腹部大動脈瘤、大動脈解離

 

上記に挙げた以外にも腰痛を呈する疾患は多くあります。そのため、腰痛だからといって必ずしも骨や筋肉に異常があるわけではないことを知ることが重要です。

 

慢性腰痛症の原因-心因性(ストレス)

先述したように慢性腰痛のうち、検査で原因の分かる特異的腰痛は割合として15%しか占めていません。
つまり、慢性腰痛の原因となる疾患を説明してきましたが、実際は原因の分からない非特異的腰痛が慢性腰痛の多くを占めています。
非特異的腰痛の原因としては生活習慣だけでなく心因性も関与していることが最近知られています。

脳には痛みを感じた時に、痛みを抑制するシステムがあります。
痛みを感じた時に脳はドーパミンという物質を放出します。
ドーパミンが放出されるとセロトニンという神経伝達物質や、鎮痛薬にも使用されているμオピオイドという物質が放出されて痛みを抑制するのです。
しかし、長期間にわたるストレスにより脳内のドーパミンが放出されにくくなることが分かっています。
ドーパミンの放出量が減ると痛みを緩和するセロトニンやμオピオイドも放出される量が減ってしまうため、結果として痛みを抑制することが出来なくなります。
これにより実際よりも痛みを強く感じたりしてしまいます。
慢性腰痛によるストレスにより、痛みをより感じやすくなってしまい、さらにストレスがたまってしまうという悪循環に陥る方もいます。

また、腰痛を認めたばかりのころは安静にするのが治療です。
しかし、ある程度病態が安定すれば徐々に運動をしてリハビリをすることが慢性腰痛の改善につながります。
ぎっくり腰など運動を契機に腰痛を生じてしまった患者さんのなかには「運動をしているときに腰痛になったのだから、運動は控えた方が良いのではないか」と考えてしまう方がいます。
しかし、運動をしないと腰部の筋力が落ちてしまうため、余計に腰痛を引き起こしてしまうと考えられています。

このように慢性腰痛は精神的な要因も原因の一つであることが分かります。その為、治療の際も精神面を十分に考慮する必要があります。

 

慢性腰痛症の検査

慢性腰痛の原因を精査するうえで必要な検査は、疑われた病態ごとに異なります。
そこで、本記事では腰痛で医療機関に受診した際に実施されることが多い代表的な画像検査について説明していきます。

 

レントゲン

最も簡便に行える検査の1つで、腰痛で整形外科を受診した際に必ず受けることになる検査です。
主に骨を見ることを目的とした検査で骨折の有無や骨の変形が分かります。
そのため、脊椎圧迫骨折や側弯症などはレントゲンのみで診断可能です。
しかし、微細な骨折の場合はレントゲンだけだと判断が困難な場合がありますので、追加で後述するCT検査やMRI検査が必要となります。
またレントゲンでは靱帯や椎間板といった軟部組織は分かりませんので、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を疑うときはMRIが必要となります。

 

CT検査

CT検査ではレントゲンよりも精度良く骨に関して評価することが出来ます。
レントゲンでは見つけられなかった骨折でもCTでは認められるといった場合もあります。
また、造影剤という薬剤を用いた造影CTでは軟部組織の炎症や腫瘍なども評価できることがあります。
先述した非整形外科疾患はレントゲンではなくCT検査で診断できることのほうが多いです。

 

MRI検査

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、軟部組織を正確に評価しなければいけない場合はMRI検査が必須となります。
具体的には脊髄や椎間板、靱帯の炎症や損傷、断裂また腫瘍を評価します。
また、レントゲン検査やCT検査と異なり放射線の被爆が全くないことも特徴の1つです。

 

慢性腰痛症の治療

慢性腰痛に対する治療法は様々な種類がありますので、代表的なものをいくつか説明していきます。

薬物療法

腰痛に対する対処療法として鎮痛薬が良く処方されますが、痛みの種類により使用される鎮痛薬も異なります。

骨折したときの骨の痛みや腰を捻ることによる筋肉の痛みといった筋骨格系に対する痛みにはアセトアミノフェンや非ステロイド性鎮痛消炎剤が用いられます。
腰痛で医療機関を受診した際に、まず最初に処方されることが多い薬です。
しかし、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊髄が圧迫されることによる神経痛の場合ですと、先述した鎮痛薬の効果は乏しいです。
神経痛に対しては、神経障害性疼痛緩和薬(リリカ、タリージェなど)、弱オピオイド薬(トラムセット、トラマール)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(サインバルタ)などが使用されます。
しかし、薬物治療は対処療法にしかすぎないため慢性腰痛の根本解決にはつながりません。
特に原因の分からない非特異的腰痛に対する鎮痛薬の効果は限定的です、そのため、後述するいくつかの治療を組み合わせて慢性腰痛を治療することがほとんどです。

 

物理・装具療法

慢性腰痛に対する物理・装具療法はいくつかあるので、代表的なものを説明していきます。

超音波治療

超音波とは人間の耳に聞こえないほど高い振動数をもつ音波のことです。
超音波を筋肉に照射することで1秒間に100万~300万回も振動するミクロマッサージをすることができて筋肉にちょうどよい刺激を与えることが出来ます。
また、音波を与えることで温熱作用があることが知られており、血行が良くなることも知られています。
これらの作用により慢性腰痛に対して効果的であるとされています。

経皮的電気刺激

経皮的電気刺激とは痛みのある部位に電極を貼り、その下の神経に電気刺激を与える治療法のことです。
簡便で侵襲の低い治療法であることから多くの施設で取り入れられています。
痛みを感じている神経に電気刺激を与えることで、神経が痛みを伝達するのを防ぐことにより痛みを和らげる作用があります。

温熱療法

温熱療法とは字の通り、痛みのある部位を温めるといった治療方法です。
疼痛部位を温めることにより原因となる部位の血行を良くすることで血行を改善し筋肉のコリを解消する作用があります。
慢性腰痛や肩こりの治療によく用いられます。
温熱療法に用いられるのは施設により異なりますが、赤外線やマイクロ波、ホットパックなどが使用されます。

腰椎サポート(コルセット)

コルセットに関しては一般的な薬局にも市販されており、なじみの深いものではないでしょうか。コルセットを装着することで以下のようなメリットが得られます。

脊椎の負担が軽減

コルセットを装着することで腹圧が高くなると腰椎にかかる負担が軽減すると報告されています。

痛みの緩和

コルセットを装着することで、先述したように脊椎の負担を軽減させたり、また姿勢を安定できるため慢性腰痛の症状を和らげることが出来ます。そのため、痛みのために億劫となっていた運動も行うことが出来るので、早期のリハビリテーション開始につながります。

精神的な安心感

コルセットを装着することで痛みを改善できることから精神的なストレスを軽減することが出来ます。慢性腰痛の原因で述べたように精神的なストレスも原因の1つなので、安心感を得られることは慢性腰痛の改善につながります。

 

しかし、コルセットは装着するうえではいくつかの注意点があります。
1点目としては、ずっと装着するのではなく運動をするときのみで大丈夫です。
実際は日中のみ装着すればよいと考えられています。
2点目としては、コルセット装着は過度の安静につながりかねないとのことです。
痛みが強い時はコルセット装着によるメリットは大きいです。
しかし。痛みが改善してきたにも関わらずコルセット装着を続けると、脊椎や周囲の筋肉への負担が軽減している状態が持続するため筋力低下につながる可能性もあります。
筋力低下は慢性腰痛の原因の一つでありますので注意が必要です。

 

認知行動療法

精神的なストレスが腰痛に悪影響を及ぼすのは先述した通りですが、悪影響を及ぼすサイクルを断ち切るのが認知行動療法です。
認知行動療法とは物事をどのように受けとめるかといった「認知」と認知を受けてどのようにするかといった「行動」を良い方向に変えていく治療です。
慢性的な腰痛のせいでストレスがたまりネガティブな考えをするのではなく、痛みと上手に付き合えるように認知を変えることで精神的なストレスを軽減すると期待されています。
また、腰痛に対して過度に恐怖心を動いて、運動を始めようとしない方がいます。
認知行動療法により過度な恐怖心を無くすことができれば、運動療法を始めて慢性腰痛を改善できるのではないかと考えられています。
認知行動療法は、慢性腰痛に関する日本のガイドラインでも推奨されている治療法です。

 

慢性腰痛症でよくある症状と職種別予防策

デスクワーカー

デスクワーカーは長時間椅子に座る必要があるため、座る姿勢が悪いと腰痛を引き起こしやすいです。
前かがみなどの姿勢を続けることで腰の筋肉に負荷がかかり筋肉が過度の緊張をすることや血行が悪くなることが原因です。
そのため正しい姿勢で座ることが予防として重要です。
また、デスクワーカーの腰痛はいわゆる検査では明らかな原因と特定できない非特異的腰痛であることが多いため、鎮痛薬などの対処療法などに過ぎず効果は乏しいです。
仕事中にもストレッチをする時間を設けることや接骨院などの物理・装具療法を受けることで慢性腰痛の予防や改善をすることが出来ます。

 

主婦

主婦の方も腰痛を訴える方は非常に多いのではないでしょうか。
洗濯物や掃除、炊事など家事の多くの場面でしゃがんだり、立ちっぱなしでいる、重い荷物を持つなど腰に負担のかかることが多いです。
主婦の方が訴える腰痛もデスクワーカーの腰痛と同様に非特異的腰痛であることが多いため、予防としてはストレッチや運動療法、物理・装具療法がメインになります。

 

スポーツ選手

慢性腰痛の原因として運動不足も一つの原因にありますので、スポーツ選手が腰痛を引き起こしやすいというのはしっくりこない方も多いかもしれません。
しかし、スポーツ選手の場合は過度な運動により腰に大きな負荷がかかることで腰痛を引き起こします。
どのスポーツをしているかによって変わりますが、腰をひねることや相手選手からタックルをうけることで腰部の筋肉がダメージを受けて腰痛を引き起こす場合があります。
このような場合は鎮痛薬や湿布を貼ってしばらく安静にすることが重要です。
予防としては体の柔軟性が低いと怪我につながりやすいと考えられているため普段からストレッチを行うことが重要です。
また、物理・装具療法などで腰の筋肉の緊張を和らげることも予防につながります。
さらに、スポーツによる過度な負荷は脊髄にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症がその一例です。
神経痛に対しては市販の鎮痛薬や湿布薬は効果が乏しいので、医療機関を受診し診断を受けたうえで神経痛に対する治療を開始するのが良いでしょう。
物理・装具療法の1つである電気刺激療法も効果のある治療法の1つです。

 

お年寄り

高齢の方は加齢に伴う筋力低下や骨の変性により腰痛を呈する方が非常に多いです。
また、腰痛の原因も一つだけでなく様々な要因が重なって慢性腰痛をきたしていることがほとんどです。
要因が多岐にわたっているからこそ、医療機関や接骨院を受診して先述した治療を組みあわせることが重要になってきます。
予防としては健康診断にしっかりと通い普段から自分の持つ病気のことを把握すること、また定期的に運動をして加齢に伴う筋力低下を防ぐことが重要です。

 

妊婦

妊婦の方が腰痛を生じてしまう原因はいくつかあります。

まず、1つ目として姿勢が悪化してしまうことが挙げられます。
赤ちゃんが成長するにつれてどうしても体の重心が前になります。
そのため、腰をそらせるような姿勢でいることが多くなってしまいますので腰椎や腰の筋肉に負担がかかりやすくなってしまい腰痛を引き起こします。
2つ目として子宮が大きくなることにより腰を含めた下半身への血流が悪化することが挙げられます。
血流が悪化すると下半身が冷えて筋肉が緊張してしまうため腰痛が起こりやすくなります。
最後に3つ目としてホルモンバランスの変化があります。
妊娠によりリラキシンというホルモンが産生されます。このホルモンの作用として骨盤周囲の靱帯を緩めることにより赤ちゃんが産道を通過しやすい状態にします。
しかし、骨盤周囲の靱帯が緩むことで骨盤周辺の関節の安定性は低下してしまいます。
その結果、腰などの筋肉への負荷が増えてしまいます。

予防としては冷えを防ぐために腰部を温めたり、定期的なストレッチや運動をすることで筋肉の緊張を無くすことが重要です。
また、姿勢の悪化は防ぐために妊娠用ベルトといった道具を用いるのも有効です。

 

立ち仕事

立ち仕事をしている人にとって腰痛は職業病といっても過言ではないはずです。
立ち仕事で腰痛をきたす要因としては、猫背や腰をそってしまうことで腰椎や腰の筋肉に負荷がかかることが挙げられます。
また、長時間立っている状態が持続することで、腰の筋肉への血流が悪くなることも要因の1つです。
立ち仕事をしている方の中にはヒールのある靴を履かなくてはならない方もいるかもしれません。
ヒールのある靴を履くとつま先立ちをしている状態ですので、重心が前のめりになります。
その結果、腰の筋肉に余計な負荷がかかるので腰痛の原因になるのです。

予防として腰に負担の少ない立ち方を意識すると良いです。
また、血行が悪くならないように温めることも重要です。
しかし、立ち方などはすぐには治せない場合もあります。
立ち仕事による腰痛のほとんどは非特異的腰痛ですので、接骨院などで物理・装具療法を受けるのも有効な手段です。

 

慢性腰痛症についてのまとめ

慢性腰痛の原因や検査、治療方法などについて説明しました。
慢性腰痛の原因は多岐にわたるため原因がはっきりとせず、何となく鎮痛薬を内服して過ごしている方も多いのではないでしょうか。
原因をはっきりとさせるためにもレントゲンなどの画像検査を受けるのは勿論重要ですが、原因が分からない時は普段の姿勢や生活の環境に腰痛の原因となりうる問題がないか探してみることも重要です。
どのような姿勢が良いのかについては自分で判断するのは難しいと思うので、一度ご来院いただき、アドバイスを貰うのも1つの手です。

慢性腰痛と上手に付き合っていくためにも様々な原因や治療法があることを知るのは重要です。
是非この記事を読んで慢性腰痛に対する理解を深めて下さい。

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